この記事は東京から京都までを路線バスを乗り継いで旅行した記録の第4話です。
第1話はこちら。
第2話はこちら。
第3話はこちら。
この旅行は2021年に行いました。この記事で紹介されている路線の中には現在は廃止になっているものもありますのでご了承ください。
現在も4日間で東京→京都を移動することは(頑張れば)可能です。一連の旅行記の最後に現在も4日で東京⇒京都を乗り継ぎできるルートを紹介したいと思います。
旅のルール
- スタートは東京の日本橋 ゴールは京都の三条大橋
- 「日本橋」停留所からバスに乗り、「三条京阪」停留所までバスに乗る。(初日始発前に歩いて距離を稼いだり、最終日の最終バスが終わった後歩いて無理やりゴールするのは×)
- ローカル路線バスのみを乗り継ぐ。バスがなければ歩く。
- 鉄道・高速バス・タクシー・ヒッチハイクなど、ローカル路線バス以外は使用禁止
- 時刻表や地図を事前に調べるのはOK。(ここだけ本家とは違います)
4日目 三重・桑名⇒京都・三条大橋?
おはようございます。今日はついに最終日。無事に京都までたどりつくことはできるのでしょうか。
事前に調べた行程では、今日が一番歩く距離が長く、一番過酷かもしれません。3日間の疲労がたまっていますが、頑張ります。
40本目 三重交通 21系統 桑名阿下喜線 イオンモール桑名口7:16⇒いなべ総合病院8:00(8:09)
以降、()内は遅延・早着時の実際の時刻を示します。
最寄りのバス停からまずはいなべ総合病院に向かいます。このバスは桑名駅が始発なので、前日名古屋から桑名駅まで乗車し、桑名駅前のホテルに宿泊してもOKです。
この区間は並行して三岐鉄道が走っていますが、バスの需要も大きいようです。
いなべ総合病院に到着しました。ちなみに「いなべ」は漢字で「員弁」と書きます。旧員弁町が合併し市制施行する際に、難読であることからひらがな表記にしたそうです。
近くの阿下喜駅に行ってみました。三岐鉄道北勢線は全国的にも珍しい、ナローゲージと呼ばれる幅の狭い線路の路線です。車両も小さく、かわいらしい姿です。
41本目 いなべ市 アイバス 石榑線 いなべ総合病院9:12⇒山条公会場9:38
いなべ総合病院はいなべ市の中心に位置し、いなべ市のコミュニティバスに乗り継ぐことができます。いなべ市のコミュニティバスはなんと運賃が無料です。
このバスで峠の手前まで向かいます。いよいよ鈴鹿山脈越えです。
山条公会場という、峠に一番近いバス停で降ろしていただきました。
山条公会場9:38⇒杠葉尾11:49 徒歩11.4Km
さて、いよいよ峠越えです。ここから滋賀県側の杠葉尾というバス停まで、国道421号線石榑峠(いしぐれとうげ)を11kmほど歩いて越えます。
鈴鹿山脈を越えるルートはいくつかありますが、京都を目指す場合はこれが一番速いルートになります。最終目的地が大阪の場合は、津まで南下し奈良に抜ける方法もあります。
2時間ほどしかないのでハイペースで行かなければなりません。あいにく雨が降ってきてしまいました。
次第に勾配がきつくなっていき、これまでの3日間の疲労も相まってかなりしんどくなってきます。
今までの努力を無駄にはできません。必死に登ります。
1時間ほど進むと、ついに全長4157mの石榑トンネルが見えてきます。歩行者が通行できるか心配でしたが、幸い右側には狭いながら歩道がありそうです。
トンネル内は勾配が緩やかで雨もしのげるため、思いのほかハイペースで進めます。
トンネルの中間付近で、ついに滋賀県に突入です!!
滋賀県側に入ると下り勾配に転じ、さらにペースアップ。
次のバスの発車時間が迫ってきています。これに間に合わないとチャレンジ失敗です。絶対に逃せません。
バス停は国道から少し右に入ったところにありました。少々見つけるのに苦戦しましたが、発車3分前、なんとか間に合いました。
42本目 東近江市 ちょこっとバス 政所線 杠葉尾11:52⇒永源寺支所12:22
乗車したのは東近江市のコミュニティバスです。1日4本しかなく、事前に調べていたとはいえ奇跡の乗り継ぎといえるでしょう。峠を歩いて越えてバスを乗り継いだ人はおそらく過去にはいないでしょうが、ここの乗り継ぎも今回の旅の成功のカギになっています。
43本目 東近江市 ちょこっとバス 市原線 永源寺支所12:31⇒高木下12:39
永源寺支所というところで乗り継いだバスは八日市駅行きです。駅まで行きたくなりますが、ここは途中で降りるのがポイントです。滋賀県は路線バスがあまり充実していないため、徒歩と組み合わせていかに効率的に移動するかがポイントです。
高木下12:39⇒半川原13:12 徒歩2.6Km
歩いて日野町を目指します。大した距離ではないのですが、これまでの疲労の蓄積しておりしんどいです。
たどり着いたのは半川原というバス停。いろいろなルートを検討しましたが、この区間を歩くのがもっとも効率がよさそうです。なんの変哲もない途中のバス停ですが、ここが東京⇒京都の最速ルート上にあると思うと、何だか感慨深いですね。
44本目 日野町営バス 半川原13:20⇒桜川駅13:39
日野町営バスで近江鉄道の桜川駅に向かいます。
45本目 近江鉄道バス 長峰線 桜川駅14:32⇒六枚橋14:48(14:52)
桜川駅からは近江八幡駅行きに乗車します。
先ほどの東近江市のバスで八日市駅へ行くと、その先進むことが難しくなってしまいます。八日市から近江八幡は鉄道があるからバスの需要がないのです。一方で、桜川駅からは近江八幡駅にはバス路線があります。これが桜川駅へ向かった理由です。
国道8号線との交差点、六枚橋で下車します。
六枚橋14:52⇒鏡口15:33 徒歩4.0Km
ここから南下するバスはないため、また歩きです。国道8号線を進みます。
大津まで33km、京都はまだ先ですが、いよいよゴールが近づいてきたように感じます。
46本目 近江鉄道バス 野洲アウトレット線 鏡口15:38⇒野洲駅16:00(15:52)
8号線を4kmほど歩くと、鏡口というバス停があり、アウトレットと野洲駅を結ぶバスに乗ることができます。野洲駅には8分も早着しました。
野洲駅からは本日4度目の歩きです。滋賀県は本当にバス路線が少なくて大変です。
新八代は「しんやつしろ」ではなく「しんはったい」と読みます。守山市に入りました。
47本目 近江鉄道バス 木の浜線 新八代16:40⇒琵琶湖プラザ前16:57(17:01)
守山からは琵琶湖を渡り堅田を目指します。この先草津や石山へ向かうとバス路線が途切れてしまいます。琵琶湖にちなんで「急がば回れ」といったところでしょうか。
東京を出てから4日、ついに琵琶湖とご対面です。ここまでバスだけで来たと思うと感慨深いですね。天気も良くなってきました。この調子で京都までラストスパートです。
48本目 江若交通 80系統 琵琶湖大橋線 琵琶湖大橋東詰17:22(17:24)⇒堅田駅17:36
いよいよ琵琶湖を渡ります。このバスはもちろんローカル路線バスですが、一応琵琶湖大橋は有料道路なので、ルール上どうなの?という意見もあるかもしれません。テレビ版では過去に安房峠道路等も登場したことがあるので、私は全然問題ないという認識ですが、もし気になるようでしたら歩いて渡ってくださいね。(歩いても間に合うはずです。)
49本目 江若交通 103系統 浜大津線 堅田駅17:50⇒大津駅18:35(18:32)
湖西線ができる前は江若交通の鉄道路線があり、その流れを受け継ぐ路線でしょうか。江若交通は京阪グループで、いよいよ京都は近いなという印象です。
ついに大津駅に到着。京都は目前です、が、最後の難関、逢坂山を越えないといけません。もちろん歩いたら今日中に三条大橋に着ける距離ではありますが、最後までバスを乗り継いでゴールしないと成功とはいえませんよね。
50本目 京阪バス 66系統 大津駅18:47⇒比叡平19:33
さて、選んだバスは比叡平行きです。比叡平は名前の通り比叡山の南方、山上に位置する住宅地です。比叡平には大津側京都側双方からバスが乗り入れており、乗り継ぐことで歩かず山そして県境を越えることができます。
実はこれが乗り継げる最終バスで、間に合わなかった場合は山科まで徒歩で向かう必要がありました。
比叡平は標高が高く、肌寒く感じました。
51本目 京阪バス 56系統 比叡平19:50→三条京阪20:27
比叡平からついに最後のバスに乗車です!カーブが連続する峠道を進んでいると、突然視界が開け、そこはもう京都盆地です。見慣れた景色が広がった時は、感動してしまいました。
4日目の20時27分、バスは定刻通り三条大橋最寄りの三条京阪バス停に到着しました。
鴨川沿いには散歩する人や観光客の姿もあり、京都の日常の光景が広がっていました。私も比叡平からの路線バスを降り立っただけですが、これまでの道のりを思えば、ふつふつと達成感が湧いてきました。
日本橋から都営バスに乗ったのは4日前。計51本のバスと40kmの徒歩で、およそ500kmの道のりをつなぎました。
バスの遅延でハラハラした1日目、静岡県の広さに圧倒された2日目、奇跡的な乗り継ぎで長距離を移動した3日目、徒歩の連続で過酷だった4日目、とても濃密な4日間でした。
ゴールとタイムリミットを設けたことで味わえるスリル感は、普通の旅行ではなかなか味わえません。新幹線に乗れば2時間で移動できることを考えれば、バカげた旅かもしれませんが、だからこそ出会える景色や場所があり、一生記憶に残る旅行になったと思います。
バスの運賃は合計でおよそ2万円です。これは新幹線のグリーン車と同じぐらいです。個人的には案外安いなと感じました。皆さんはどう感じるでしょうか?
時間もお金もかけた贅沢な旅、またやりたいとは思いませんが、やってよかったとは思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後もたまに旅行記を挙げていこうと思います。過去楽しかった旅行も振り返っていきます。
最後に次の記事で2024年6月現在の乗り継ぎプランを紹介します。
路線の廃止等で以前より過酷になっていますが、現在も4日で移動することは可能です。気になる方はぜひチャレンジしてみてください。近い将来できなくなる日が必ず来るはずです。チャレンジするなら今ですよ。